カフェで朗読 vol.18 「本読みの時間」 〜娘の話。一生懸命「愛」しました〜

2010年5月9日(日)

大阪・中崎 Common cafe

 

今回は


初登場・大野美伸。
(evkk)

2年ぶりです、泉祐介。
(放映新社)

3年ぶりです、戸谷陽子。

な、ハイソ(?)メンバーと、

私、甲斐祐子。

そして

スタッフ・濱中香衣
(幸せオーラ満開でした。w)

アーンド

写真撮影(と雑用)・ハラダ

カフェ太陽の塔

で、お届けしました。

 

オリジナルカレー
トロサーモン丼
撮り忘れたタコライス
ロコモコ丼
しょうが焼き定食

すべてのメニューにポテトサラダ付き。

 

 

さて今回は「娘の話」

娘たちは自由奔放。

親の心、子知らず、とは言いますが、

お父さんも大変です。

でも、

娘だって、大変です。

結構いろいろ考えてるのよ、おとーさん。

 

母の日(5/9は母の日でした)なので、お母さんはお休みです。

 

 

それでは、6組の親子、7人の娘の姿を夜公演仕様でお楽しみください。


庄野さん家のお話@

 

「お父さんとお母さんの金婚式はいつですか?」
娘・夏子

 

「結婚した年を一年目とすれば、

来年が50年目ね」

父・庄野潤三
母・千寿子

 

 

 


二家族(三家族)目

川上弘美作 「ときどき、きらいで」

 

えりちゃんと私は同じ32歳。ほとんど姉妹のように育った。

えりちゃん
私(くみちゃん)

「ミコちゃんて、今も恋人いるの?」

「うん、公式には2人」

「公式?」

えりちゃんのお母さんと私の母は同い年。

「ミコちゃん」と呼んでいる。

ミコちゃんは「かわいい女」だ。

ミコちゃんは今52歳。

ミコちゃんは「華麗」なタイプ。

娘のえりちゃんと私は

シック、というか、地味だ。

「一ヶ月に2回以上会うのが公式、

それ以下のは、非公式」

「ねー、くみちゃん、あれした事ある?」

「あれって?」

「ほら、あの・・・」

「ないよ。・・・・・・えりちゃんこそ、あるの?」

「ない。でも、ミコちゃんはいっとき毎日してた」

「は?」

 

 

あれって何でしょうねー。

気になる人は原作を。

 


庄野さん家のお話A

 

妻は長女へ宅急便をつくって送る。

うり坊のぬいぐるみ2つ、

藤屋で買ったカレーパン、チョコレートロール、

カレーパンが食べられない末っ子の正雄のためにごぼうサラダパン、

を詰めたと言う。

 

長女は亥年の生まれである。

「うり坊到着!」

 

「ごぼうサラダパン、傷んでなかった?」

「何ともなかったよ」

 

 

 

 


 

家族目

中嶋京子作 「ハッピー・アニバーサリー」

 

その日、由香里と園子は一周年記念の食事をして、由香里のアパートに戻った。

アパートの鍵がなぜか開いていた。

 

「おー、由香里、帰ったのか。

お父さんちょっと上がってたぞ

大須磨の弁当買ってきたぞー」

 

父・松田清三(68歳)
 

サッカー中継を見ながら急速に意気投合したかに見える

父と園子の二人を残して、

私は一人、コンビニへ向かう事になった。

娘・由香里

由香里の父親は酔っ払って眠ってしまった。

 

 

恋人の父親だと思うと、少し愛おしいような気もした。

園子

 

「お父さん寝ちゃったけど

どうする?」

 

 

 

「泊まりたいけど・・・」

 

 

 

「園ちゃん、泊まってくでしょう?」

 

 

「由香里の家、帯屋さんで、店先でお母さんが機織ってたんだって?」

父から話を聞いたらしい園子がそういうので、私は久しぶりに実家の光景を思い出した。

「うちの実家ね、店閉めたの」

父は今週、世話になった織物業者に会い、

契約の更新ができない事を告げまわった。

その帰りに私の部屋に立ち寄ったのだろう。

「あの店なくなるんだと思うと・・・・」

「由香里」

涙ぐんだ由香里に寄り添い、

その肩を抱く。

 

 

「小さくてもいいから、

二人で店を出そう」

娘たちは抱擁を交わし、接吻をしてるようだった。

東京オリンピックの年に、独立して結婚した事を思い出した。

店を出すんだ、というのと、嫁に来てくれ、というのは

同じ意味で・・・・・・

「だめ」  ささやき声でそう言ったのは・・・由香里か

母さん!

心の内で叫んだ。

 

 

 

 

 

今目の前で起こってる事を、

帰ったら、

あんたにどう話したらいいんだ、

母さん!

翌日、松田清三は五時半に目覚めた。

老人の習性で朝が早いのだ。

 

娘たちの寝姿に目をおとした。

 

「帰ります」とだけ書いて、部屋の鍵を置いた。

外へ出ると、小鳥の泣き声がきこえた。

 

「メンバー的に今回はエロはないと思っていた私が甘かったです」と、

某映画監督に言わしめた前半の2作品。

 

えぇ、甘いっすよ。

 


庄野さん家のお話B

 

私の日課の散歩は先年大病をして入院をした後

リハビリとして始めたものだ

いつも妻が玄関まで送りに出て

「行っていらっしゃい」

と、声をかけてくれる。

十年前、救急車で運ばれた時は、

左半身が痺れて、

歩くどころでない。

立つのがやっとという有様であった。

入院して一ヶ月を過ぎた頃、

「そろそろ歩く練習をしてみましょう」

と言われた。

先生の「ひだり、みぎ」の掛け声に合わせて

大きな杖にすがりながら、

驚いた事に、私は歩けた。

 

 

嬉しかった。


 

泉さんが眼鏡を外したら暗転して前半終了。

 

 


 

さて後半。

 


庄野さん家のお話C

 

拝啓 生田の山のご両親様。

結婚二十五周年のお祝い、ありがとうございます。

追伸

私たちの銀婚式にこれだけのお祝いを下さったのですから、

その倍金婚式を迎えられるお父さんたちのお祝いも

私たちにきちんとさせてくださいね

 


庄野さん家のお話D

 

長女から電話がかかる。

金婚式のお祝いに子供らで、新しい絨毯を贈りたい、任せてもらいたいと言う。

「お父さん、

もうええ、もうええと言わないで、しまいまできいてください」

 

そう言われると、

こちらは「もうええ、もうええ」と言う訳にはいかない。

子供たちの申し出にありがたく従う事にした。

 


五家族目

川上弘美作 「トリスを飲んで」

 

私(鈴子)
二年に一度は海外旅行
どうやら飛行機が苦手なよう
三十歳 結婚の予定なし

なぜ親子3人で旅にでる事になったのか、そもそもこの旅行の目的が何なのか、最初か曖昧だった。

「せっかくの親子水入らずなんだから」そう言いながら、マウイ島のコンドミニアムを予約したのは、母だった。

「はーれたそらー、そーよぐかぜー」

父が小さな声で歌っている。

楽しいんだか、楽しくないんだか、

感情のこもらない調子なので、

よくわからない。

母は毎日、精力的に出かけている。

父の日課はこんなふうだ。

午前中、海辺の散歩。

昼食はひやむぎを自分でゆでて食べる。

午後、辞書をひきながら『老人と海』を読む。

辞書なんて持ってきたんだ?

「だってここは英語を使う国なんだろう?」

 

父は、

珍しく含み笑いをしながら答えた。

家族が三人揃うのは、夕食のときだけだった。

母と私がつくった料理を、父はもくもくと食べる。

 

後片付けをしながら、言ってみた。

「うちって、夫婦の会話が、ほとんどないんだね」

 

「あのね」

私は身構えた。

母は目をぱっちりと見開いていた。

 

「あのね、

あたしとお父さんは、ちゃんと愛し合っているのよ」

五日間、私たちはハワイに滞在した。

ハワイに来て、父が笑ったのを見たのは、二回だけだった。

 

「トリスを飲んではわいに行こう、の頃は、鈴子はまだ生まれてなかったんだな」

曖昧に答えると、

父はむっつりとしたまま

少しだけ笑った

そうかな?きっとそうだね。

 

 

 

 

 

三回目の笑いだ。

父がなぜ笑ったのか私にはぜんぜんわからなかった。

でもまぁ、

三回笑ったんだよね、お父さん。

 

 

トリスの瓶を持って行くのをすっかり忘れてたハラダです。

 


庄野さん家のお話E

 

今日は子供らが贈り物の絨毯を敷きに来る日。

あいにくの雪である。

しかし、昼までに雪がやむ。

「2時頃につきます」

天気はよくなった。

山の下の長男、

足柄から長女、長女のところの長男の和雄、

次男の良雄、末っ子の正雄、

そして読売ランド前の次男が揃った。

長女を中心にみなよく働いてくれて、

新しい絨毯もいい具合に収まった。

 

 

なかなかいい。

 

 


六家族目

筒井ともみ作 「花嫁の父」

 

毎週末の土曜日と日曜日、私は父のいる家に帰る。

どんな事があっても、この一晩泊まりの帰省だけは実行している。

 

父の家に向かう途中、必ず買うのがポテトサラダの材料だ。

亡くなった母の味であるポテトサラダが父の何よりの好物である。

私が父の家を出て一人暮らしをしたのは、

今から七年前の事だ。

あの頃私は初めての激しい恋をしていた。

そしてそれにやぶれたのだ。

父はたぶん、私の失恋に気づいていた。

その時から私は週末の帰省を欠かしたことがない。

週五日の会社勤めと週末の帰省。

それを繰り返すだけの私の日々は地味かも知れないけれど、

父の存在が私を癒してくれる。

父は一点の曇りもなく私を必要として、愛してくれているから。

そんな地味な日々に変化が生じた。

谷川さんと出会ったのだ。

七年前の恋のような激しさはないけれど、

三十年近くを別々に生きてきた男と女の距離を丁寧に少しずつ埋めていく、そんなふうに私たちは親しくなった。

その谷川さんからプロポーズされた。

 

本当に嬉しかった。

でも、

父には上手に、デリケートに話さなければ。

 

父に「花嫁の父」の寂しさを感じさせたくない。

今夜こそ谷川さんのプロポーズの事、報告しなければ。

父と二人、鍋をつついたほうが、話もしやすいだろうと、今夜はつくね鍋にした。

もちろん、ポテトサラダとビールで一杯やってもらってからだ。

「おとうさん、わたし・・・・」

さぁ、言わなければ。

「咲子、話がある」

 

「え?」

思いもかけない父の告白。

私の中に湧き上がってきたのは、腹立たしさと同時に、嫉妬の感情だった。

お父さんは、

一点の曇りもなく私を必要として、

私だけを愛してくれていたんじゃなかったの?

 

 

私は怒ったようにつくね団子を頬ばった。

つくね団子を頬ばるうちに、私の中から嫉妬の感情がじんわりと失せていき、変わりに寂しさがこみ上げてきた。

けれど、谷川さんの事を思い出した時、こみ上げていた寂しさは、切ないような恥ずかしいような、父への思いへと変わっていった。

お父さん、おめでとう。

今夜はもう一度、ポテトサラダをつくろう。

父のためにつくる最後のポテトサラダ。

そして、

これから、私は谷川さんのためにポテトサラダをつくってあげる。

 

 

お父さんの思いがけない話が何かは、原作でご確認ください。

ま、何かわかるでしょうけど。

 


庄野さん家のお話F

 

絨毯がはいった翌日。

妻と二人、「気にいった」と言って、書斎の入り口に立って眺める。

「ついスリッパを脱いでしまうの。

踏み心地がよくて、

気持ちがいいので」

この絨毯が古びてしまうまで、二人とも元気で、機嫌よく暮らせるように祈りたい。

 


庄野さん家のお話G

 

拝啓 足柄山からこんにちは。

今日は、生田の山の上の家の父の様子をお話しします。

父の一日は、母が部屋の雨戸を開けて

「おはようございます」と声をかけるところから始まります。

朝晩の点検は、弟の龍也が、

午前中の介護は、母とヘルパーさんと龍也のお嫁さんの敦子ちゃんが、

午後は私と母が。

お休みの日には下の弟の和也もきてくれて私はおやすみです。

和也のお嫁さんのみさおちゃんは金曜日が当番です。

二人の弟が揃って休みの日は車椅子を出してお散歩です。

コースは父がいつも歩いていたおなじみの道。

今ようやく水車小屋の歯車がかみ合って、

コトコトコットンとリズムよく回り始めた気がします。

最後に父の言葉を申し上げたいと思います。

 

「皆様、本当にありがとうございます」

 

(庄野さん家のお話は『貝がらと海の音』・『山田さんの鈴虫』・『けい子ちゃんのゆかた』から抜粋し、甲斐祐子が脚色しました。)

 


と、いう訳で公演終了。

泉さん、釈明中。

何についての釈明かは、お越しになった方のみで・・・・笑

 

 

みなさまありがとうございました。


 

それでは、昼公演をランダムで。

 


全員集合。


 

それでは改めまして。


「ときどき、きらいで」

友達

 


「ハッピー・アニバーサリー」

娘の恋人?

 

 
恋人

 


庄野家の人々

 


「トリスを飲んで」

 
夫婦

 


「花嫁の父」

 


 

 

 

 

という事で、

ご来店ありがとうございました。

 

次回公演は2010年8月8日(日)です。

皆様のお越しをお待ちしております。

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